嘘で隠された現実(リアル)
ねぇ、朱月。


あたしは今でも、朱月が好きなんだよ?


他の人からされればただの『親切』で片付けられるような出来事が、朱月からされれば『特別』になってしまう。


同じ事でも、他の人にされるのと、朱月にされるのとでは、全然違う。

感じる幸せも、喜びも、嬉しさも‥勿論辛さも、悲しみも…。

だから、朱月の些細な言葉に幸せを感じてしまうし、何気ない行動で傷付けられもする。

今だってそうだよ。

自分さえ知らなかった仕草を、朱月が知っていてくれたことには、大きな喜びを感じてる。

でも、それと同時に、朱月があたしを置いて別の人の元へ行ってしまった現実には、苦しめられてる。


あたしだけが苦しむなんて、理不尽だと考えてしまうこともあるけど、それがどうしようもないってことは、嫌ってほどに判ってる。

だって、何も知らない朱月は悪くないもんね。

それに、何を理由にしても、諦めたのはあたし自身。

色んなモノを恐れて諦めてしまったあたしには、嘆くことだって許されない。
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