嘘で隠された現実(リアル)
中を探り、目当ての袋を鞄から引き出す。

そして袋を開け、中身を取り出したその時…

ガシャンッ

慌てて取り出したからだろう。

数瞬前には私の手の中にあった物が、今は床の上に存在していた。

それも、原型を留めていないという、最悪な形で…。


「う、嘘…」


現状を受け入れられずに、放心状態だった。


「何やってんだよ…」

朱月は多少呆れの混じった声で呟くと、しゃがみ込み、立ち尽くしている私の代わりに、小さなガラス細工の破片を拾い始めた。


「どうしよう…」

思わずそう呟いて、急激に涙が込上げてきた。


「元気だせよ。粉々になったわけじゃねぇし、完全に元通りは無理だけど、ちゃんと直せるって」


「だって‥だって…」

私は鼻を啜りながら、朱月の手の中に有るガラスの破片を見つめた。

「すっごく大切にしてたのに…。今日は天音の誕生日なのに、どうして‥神様は意地悪だよっ」


全く泣き止む気配のない私を見つめながら、朱月は困ったように小さく唸った。


「意地悪なんかじゃねぇよ」


「え?」


立ち上がった朱月を、私は見つめた。
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