嘘で隠された現実(リアル)
「こんな話があんだよ」

朱月は机の上に、ガラスの破片を置いた。

「神様は皆を幸せにしてあげたいって思ってる。けど、それは1人じゃ大変なことなんだ。だから、天使が神様の手伝いをしてる。だけど、天使全員が優秀なわけじゃない。天音みたいなドジな天使もいる」


「ドジって‥酷い…」


「つまり、まだ子どもの天使も存在するってこと。子どもだし、失敗だってあるだろ?」


「…」


「神様は、本当は皆に幸せになってほしいんだ。だから、世の中でもし不幸なことがあったとしたら、それは子どもの天使が失敗したから…。だから、許してやんねぇと可哀想だろ?」


「朱月くんって…」

私は目を見開き、朱月を見つめた。

「そんなおとぎ話みたいなこと、言ったりするんだね…」


「はっ?これは俺が考えた話じゃねぇよ!」


少し怒ったように怒鳴る朱月を目の前にして、私は声をあげて笑った。

つい先程まで鼻を啜っていたというのに、可笑しなものだ。

朱月の話が、朱月の優しさが、朱月の初めて見せる表情の数々が‥私を笑顔へと導いてくれた。
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