嘘で隠された現実(リアル)
驚いた。


彗ちゃんが、そんな風に考えていてくれたなんて…。


「やっぱ彗ちゃんだなぁ」


私がそう呟くと、彗ちゃんは「へ?」っと間抜けな声をあげた。


「いやいや、男らしいと思ってさ。惚れちゃいそうだよ」


「なっ?ば、馬鹿!」

彗ちゃんは、照れ隠しをするように勢いよく顔を背けた。


「ありがと、彗ちゃん」


「な、何がだよ?」


私は目の前にある歌詞を持ち上げ、それを見つめた。

たった1日で書いた歌詞だが、それでも、時間を掛けて書いたものだ。

適当に当てはめた言葉なんて、1つもない。

朱月の作った曲を何度も繰り返し聴いて、幾度となく書き直した文章なのだ。
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