嘘で隠された現実(リアル)
私は目を閉じた。

一度聴いただけなのに、彗ちゃんの口ずさんだメロディーが綺麗に流れてくる。

朱月の曲を、厭きるまで聴いたからでもあるのだろう。

しかし、やはり原曲とは違うそれ。

聴いたばかりの曲を、頭の中で何度か繰り返し、私はゆっくりと目を開いた。


「彗ちゃん、歌詞、浮かんだよ」


「ふぅん‥って、もう!?」


驚いている彗ちゃんを無視して、私はペンを取り出し、歌詞を書き直してみた。

大きく意味が変わるような歌詞ではないけれど、この曲には、この歌詞の方が良いはずだ。

私は訂正を終えた歌詞を、彗ちゃんの前に差し出した。
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