嘘で隠された現実(リアル)
「はい」


「マジかよ」

彗ちゃんは小さく呟きながら、目の前にある歌詞を受け取った。

「本当にこれで良いんだな?譜面に載せて、神楽ちゃんに渡すからな?」


「うん。大丈夫」


自信満々に言う私を見て漸く安心したのか、彗ちゃんはやっと笑顔を見せてくれた。


「天音っち、仕事が早いんだな。明日までのつもりだったのに、速攻で完成させちまうなんて、マジすげぇよ」


「それは彗ちゃんのおかげだよ」


「へ?」

彗ちゃんは、再び間抜けな声をあげた。


「だからね、彗ちゃんの曲のおかげ。彗ちゃんが口ずさむ曲を聴いたら、すぐに歌詞が浮かんだの。これって彗ちゃんのおかげでしょ?凄いよね、本当に」

そう言って彗ちゃんに笑いかけようとした私だったが、それをすることはできなかった。

「ど、どうしたの?」


彗ちゃんは目を見開いて、驚いているような表情をしていた。

しかし、その理由が判らない。

私が戸惑っていると、彗ちゃんは私を避けるように顔を逸らした。

そんな風にされると、少し傷付く。
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