嘘で隠された現実(リアル)
「時久くんって、女装が似合うよね。本当はね、ふざけてるのかなって思ってたの。だって、女装する必要なんてないでしょ?でも、そんなこと関係ないよね。重要なのは演奏だもん。それに女装は、時久くんでなきゃ、できないでしょ?それってさ、活かすべきだよね」


彗が女装をやめなかったのは、天音がそう言ったからだ。

彗は何も言わなかったが、天音のこの言葉がなければ、絶対に女装をやめていたと断言できる。


だから俺は、本当はこのときにはもう、気付いていたのだ。


彗にとって天音の存在が、どういったものであるかということに…。
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