嘘で隠された現実(リアル)
走って追い掛けた甲斐あって、意外にもすぐ朱月を見つけることができた。

人の多い大通り沿いの道を抜けたそこには、数人と、数台の車が通っているだけだ。


私は一度立ち止まり、気休め程度に呼吸を整えると、普段は出さないような音量で朱月の名を呼んだ。


「あ、天音?何でこんなとこに…?」


振り向いた朱月が、心底驚いていることが判った。

そんな表情を見てハッとする。
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