嘘で隠された現実(リアル)
「あたしも学校に行く!」


「‥は?何で?」

朱月は、ただ単純に驚いていた。


「実は、あたしも歌詞ノートを学校に忘れちゃってて‥月曜でもいいと思ってたけど、せっかくだし、取りに行こうかなーなんて」


嘘だ。

歌詞ノートを学校に忘れてなどいない。

家に有るどころか、それは私の手元に存在しているのだから。


私は朱月に気付かれないように、そっと鞄に視線を落とした。


「そーなのか?んじゃ、一緒に行くか」


「うん!」

私は大きく頷くと、朱月から隠すように鞄を持ち替えた。


鞄の中にある歌詞ノートが見えるはずはないのに、どうしてそんなことをしてしまったのだろう。


「どうかしたか?」


数メートル先で、朱月が不思議そうに私を見ていた。

どうやら、ついて来ていない私に気付いて声を掛けてくれたようだ。


「ごめんごめん、何でもないよ」

私はそう言って、朱月に駆け寄った。
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