運命の人はお義兄様
もう時間も時間だから、廊下には全くと言って良いほど人が居なかった。
私はその中でも人が通らなさそうな場所に移動した。
「…っ……ヒック…っ…」
悔しかった訳じゃない。
ただ胸が痛い…。
もう帰りたい。
演奏したくないよ……。
「俺の顔に泥を塗る気か??」
え…!?
こ、う…き、さん……!?
「入学させてもらったんじゃなくて、自分の力で入りてぇんじゃねえの?
なら、何も考えないで集中しろ。」
「………」
「みっともない演奏するなよ。推薦した身にもなれ」
「そりゃ言い過ぎやろ」
「はや…とさん…!?」
「久しぶりやね、静夏ちゃん。
まさか、絋希の義理の妹やったとは…。驚いたわぁ」
「…なんで静夏の事知ってんだよ」
「親父の部下の妹が静夏ちゃんと知り合いでな。話聞いてたら会いとうなったから紹介してもろたんや」
私は驚きすぎて涙がどこかに行ってしまった。