運命の人はお義兄様
涙が退いた静夏に安心していた俺に予想外な出来事が起こった。
「久しぶりやね、静夏ちゃん。
まさか、絋希の義理の妹やったとは…。驚いたわぁ」
原因は隼人以外ありえない。
"隼人さん"だと‥!?
親父さんの部下の妹が静夏と知り合い‥!?
ムカつく。
それに、俺の人生の汚点のひとつ…。
隼人に素がバレたことを知られてしまった。
恥ずかしすぎる。
静夏は笑いを堪えるのに必死になっていた。
秘密を知られたのは恥ずかしかったが、静夏に笑顔が戻って良かった。
照れ隠しも合わせ
「無名なお前の演奏なんて知り合いしか聴いてないんだから、アホみたいに緊張するなよ」と言ってやった。
俺が聴いてるから…。
頭の中で一緒に演奏してるから…。
安心しろ。
そう言いたかった。