運命の人はお義兄様
静夏の演奏が終わると、俺は感動と懐かしさで泣きそうになった。
隣では隼人がアホみたいな事をしていたが、突っ込む気にもなれなかった。
…いや。隼人をかまえるほど俺に余裕がなかった。
隼人にも美希さんにも、俺が感動している事がバレバレだった。
小走りでステージから出ていく静夏を見て、俺は誓った。
昔の俺を思い出さなくてもいい……。
幼い俺になんか負けねぇ。
今の俺に……
惚れさせてやる!
思い出の中の俺じゃなく、今の俺が支えてやるよ。
だから…逃げんなよ。
覚悟しとけ…。