運命の人はお義兄様


隼人さん、絋希さんに続き、私が廊下に出ようとすると…。


「行っても無駄ですのにねぇ」

天草さんの周りに居た方々がクスクス笑い始めた。


私が振り返ると
「麗お姉様の名前しか出ていませんわよ」

「……」

私は何も言えなかった…。

一部の人の演奏しか聞いてないため、自分が残っている可能性があるか…正直わからなかった。


私は自信がないくせに、周りに言い返せない自分を悔しく思う、矛盾の塊だった……。


「まだ…わからないんじゃないかな?」


絋希さん……。

「自分等やる前から諦めてない?それじゃ、麗ちゃんに勝てないでしょ…?」

隼人さん…。



クスクスと笑っていた声がいつの間にか、すすり泣きに変わっていた。

「さっ、瀬野さん行こうか?」

「………」

なんと言っていいかわからず、絋希さんを見ると、有無を言わせない顔で私を見ていたため
私はただ頷く事しかできなかった。




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