運命の人はお義兄様
廊下に出ると、自分の不甲斐なさに瞳に涙が溜まった。
悔しくて下唇を噛みしめた…。
「静夏ちゃんなら大丈夫や。落ち着いてな」
隼人さんが肩をポンポンしてくれた。
「お前も落ち着けよ」
「なんでや?」
確かに…
隼人さんは全然いつもと変わらないと思う…。
「さっき"自分等"ってあいつらに向かって言ってただろ。あれ関西弁…」
「自分かて表には出てへんけど、腸煮えくりかえってたやろ!」
「あぁ。ぶん殴りたかった…が、理性があるから。俺は」
「ムカつくわ-。こんなやつほっといて行こか、静夏ちゃん」
隼人さんが私の手を持ち引っ張った。
「おゎっ」
私はいきなりの事でバランスを崩してしまった。
幸運なのか不幸なのか、絋希さんの胸に飛び込む形になってしまった……。
私が急いで放れようとしたとき、絋希さんが私を一瞬強く抱きしめ
「お前ならきっと2次に残ってるから大丈夫だ」
と耳元で囁き、私を放した。
体内の血が沸騰したかの様に体が熱くなった。
「静夏ちゃんごめんな?大丈夫やった?」
「はっ、はい。全然大丈夫です」
私は顔が赤いのがバレないように下を向きながら答えた。