運命の人はお義兄様
絋希さんもあんな笑顔できるんだ…。
私は嬉しくなり、ニヤニヤしていた。
「静夏ちゃんの顔がニヤけてる…。そないに嬉しかったんやろか?」
「企んでそうな顔だな…」
「ほんまにな…」
私は2人がこんな会話をしているのも気付かない程、浮かれていた。
「そういえば…。次の曲って何ですか?確か3曲の中のどれか1つって案内に書いてあったんですけど…」
3つとも難しくて練習が大変だった。
「ベートーヴェンのバイオリン・ソナタ<春>」
なんと、3曲の中で1番苦手な曲が選ばれてしまった。
「その顔は苦手やね」
「…はい」
私は下を向きながら答えた。
「…いつものように弾け」
「いつものように弾いても、しっくりこないんです」
「……」
反対したから怒ってるのかな?
頷けば良かった……。
私は凄く後悔した。