運命の人はお義兄様


数分後、私はステージに出るように言われた。

ステージにいる絋希さんを見ると
「うん」と頷いているように見えた。


私がバイオリンをかまえると絋希さんがピアノを弾き始める。

絋希さん…、緊張してる…?

なぜかそんな気がした。

初めて合わせるからかもしれない。

私がしっかり弾けば、絋希さんも安心してくれるよね…?

私はいつものように演奏する。


私の音を絋希さんの音が優しく包む。

心地いい…。

絋希さんの音色に私が逆に落ち着かされてしまった。

絋希さんのピアノも、私が家の廊下でこっそり聴いていた、いつもの音になっていた。


曲が進むにつれ、感情が高ぶっていく。

私の音と絋希さんの音が、交じり合う。

懐かしい…。
こうくんとの演奏に似ていた。

いや…。
絋希さんとの演奏の方が、熱くなってる。
感情が高ぶって、ドキドキする。



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