運命の人はお義兄様
今までで1番バイオリンを続けていて良かったと思った。
だから皆続けるんだ…。
この瞬間に出逢いたくて‥―――。
演奏が終わると、大きな拍手の音が耳に飛び込んできた。
絋希さんを見ると、笑顔で拍手をしてくれていた。
私の視線に気がつき、私の方へ来た。
「静夏、おめでとう」
絋希さんはそう言うと、握手をしてくれた。
私たちは客席に一礼し、袖に向かった。
「絋希さん、瀬野さん。素晴らしかったですわ」
「ありがとうございます。天草さんの演奏もすごかったです」
「ありがとう。ところで、絋希さん。この後、私の家でパーティーをする予定ですの。いらっしゃいませんか?」
「すみません。僕も家でパーティーをするもので…。パーティーと言っても家族でですが…」
そう言った絋希さんの顔は私を見て、わざとらしく笑った。