運命の人はお義兄様
体全体に温もりを感じる‥――。
「俺じゃダメなのか?」
絋希さんの声が耳元で聞こえて、初めて私は抱き締められている事に気付いた。
「…絋っ!!」
絋希さんの腕に力が込もり、口が開けなくなってしまった。
「…好きだ。静夏」
「…………。
!!!!!!!!!」
絋希さんが私を好き?
想像もしていなかった事態に、私の頭は真っ白になってしまった。
「……。悪かった…」
そう言って、絋希さんは私を放した…。
「……ってどう……意味…ですかっ?
悪っ、かった、って…どうっ、いう、意味ですかっ…?」
こんなに短い言葉も言えないくらい、止まったはずの涙が流れてきた。