運命の人はお義兄様


私は深呼吸をしてから弾き始めた。


弾き終わると、おば様と小林さんが拍手をしてくれた。


「静夏ちゃんはこの曲を弾いている時が1番色気が出てて綺麗だわ」
「そうですね。奥様」
「そ、そんなことないですよ。高校生なのに音が幼いように聴こえるんです…。他の子は大人っぽい音なのに…」
「そんなことないわ。やっぱり今年こそコンクールに出てみない?」
「無理ですよ。私なんか…」


そう。私はまだ一度もコンクールというものに出たことがないんです…。


「そんなことないわよ。今年は真剣に考えてみて」
「…はい」

「あら。もう真っ暗だわ」
「え!!本当だ。私帰りますね」
「ちょっと待って、今車を出すわ。小林、運転手を呼んでちょうだい」
「かしこまりました」

小林さんは慌ててリビングから出ていった。





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