運命の人はお義兄様
私は無意識に後ろに逃げていた。
幸平さんが私に届く位置になった時には、私の背中は壁に触れていた。
「君はあいつに騙されてるんだ…。
目を醒ませ。何もかも、会長が現れたせいだ…」
幸平さんの手が私の首に触れた。
「…こうっ…き…さんは…かんっ……け…いっないっ…」
「関係無いのは……君だ。
あいつから大切な者を奪えれば、それでいいんだ。
さぁ。あいつの一番大切な君には、死んでもらおうか…」
首を絞めていた手が更に強くなった。
「…っ………」
「恵…。今からお友達を連れていくからね」
「っ…こ…うきっ助け…てっ」
"バッンッ"
私は扉が開く音と共に意識を失った。