運命の人はお義兄様
その表情は狂っていた。
「…今からお前の大事な大事なこいつを…恵の所に連れて行くんだ」
「止めろ……」
俺は少しずつ近寄って行った。
「お前が一言そう言ってくれれば…。恵は死なずに済んだ。お前のせいで…」
「彼女を救うことが出来なくて、すまなかった…。頼むから、静夏には何もしないでくれ…」
「…お前は救うことができたのに……」
「…すまなかった」
この会話の後、暫く沈黙が続いた。
「「幸平くん!!!!」」
屋上の入り口には、彼女の両親と隼人の姿があった。