運命の人はお義兄様
私はお母さんに見付からないように、急いでお弁当を2つ鞄に入れた。
「いってらしゃい」
お母さんとお父さんを見送った私は、急いで家を出た。
朔に"遅刻するかも"とメールをし、病院に向かった。
絋希さんの病室の前に立つ。
この扉を開けたら…。
いつもの意地悪な笑顔で私を見てくれるんじゃないか…。
あの声で名前を呼んでくれるんじゃないかって…。
そうしたら、私も名前を呼び抱き付いてやろうとか…。
大きな期待を胸に抱き、扉に手をかける。
その扉の先は…、私の願いの真逆の世界だった。
状態は昨日から変わらず、唯々機械音と呼吸器の音が響いていた。