運命の人はお義兄様
その暖かさに、涙が止まらなくなった。
「弱ってるときに、ズルいってわかっとるけど…。
絋希じゃなきゃ、駄目か…?
俺じゃあかんか?
好きや…静夏…―――。」
私は驚きで何も言えなかった。
涙が流れるだけだった。
「絋希には昨日宣戦布告しといたんや。
こいつはなんも言わへんかったけどな…」
隼人さんは寂しそうに小さく笑った。
私が振り向こうとすると
「こっち見んといて。今ごっつカッコ悪いから」
「…ごめんなさい。
隼人さんの事は好きです。
でも…――――。
絋希さんを…愛してるんです」
「知っとったよ。それくらい…。」
隼人さんはそう呟き、私から離れた。
「絋希っ…。お前の大切な静夏ちゃんが泣いとるぞ。
お前が止めなきゃ、俺が無理矢理にでも止めるぞ」
「それは無理だ」
私の頬に何かが触れた…―――――。