運命の人はお義兄様
絋希side
愛しい人の泣く姿が見えた。
静夏……。泣くな。
今行くから…。
目を覚ますと、静夏は泣いていた。
思わず静夏に手を伸ばした。
「絋希が目を覚まさんかったら、俺が貰ったろうと思ったんやけどなぁ」
久しぶりに合った隼人が赤い目をして俺に言った。
「バ――カ。やらねぇよ。
俺だってやっと捕まえたんだ。
お前になんか譲ってたまるか」
そうだ。長い眠りからやっと目覚めたんだ。
こんな奴に大切な静夏は渡さない。
「自分もそんな事言うんやな。
しゃ―ないな、2人きりにしてやるか。
気が済んだら、先生呼びや」
そう言って隼人は出ていった。
俺は自分の腰に抱き付いている、静夏を見つめた。