運命の人はお義兄様
私は涙を止められなかった。
「それじゃあっ、お父さんと、絋希さんが…辛い想いをするでしょ?」
「かもしれないな…。」
兄として一緒に居るか。
恋人として一緒に居るか。
お互いの気持ちに気付いてしまった今、私には後者しか選べなかった。
「…私が出る」
絋希さんが生まれ育った家を出る必要はない。
私はあの家に住み始めたのは最近だし、絋希さんと結婚すれば、お母さんとも親子に戻れる。
「いや、俺が出る。それが、父さん達へのけじめだろ。」
「そんなことできない。絋希さんはあの家にたくさんの思い出が詰まってるんだよ…。
私は、おば様が許してくれたら…お父さんとの思い出がある所に住めるもん。」
「お母さんはどうするんだ…。」
絋希さんに強く肩を掴まれた。
「……お母さんとは「私とは、絋希くんと結婚すれば元通りよね」
後ろを振り向くと、お母さんが入り口に立っていた。