運命の人はお義兄様
みんなの視線が集まっている中、私は恐る恐る自分の気持ちを言葉にした。
「…最初は不安で頭がいっぱいでした…。
お母さんに今朝、結婚するって言われて、お母さんが決めた人だからきっといい人なんだろうなとか色々考えて…反対したくないなって思った。
でも、相手の人と仲良くなれるかとか…私は…邪魔じゃないか…とか思ったりして…。
実際に啓太さんはとてもいい人だし、絋希さんはビックリしたけど、とてもいい人で…ほ、本当に良かった…。
2人とも…お母さんを、よろしくお願い、します」
私の頬にはいつの間にか涙がつたっていた。
お母さんも泣いていて、啓太さんも目が赤いような気がした。
絋希さんを見ると笑顔で私を見ていたから、私もつられて笑った。
「静夏、泣くか笑うかどっちなの?」
「ふふ。両方」
「最高の誕生日プレゼントだわ」
あっ。渡すの忘れてた…
私はバッグから箱を取り出した。
「はい、お母さん。誕生日プレゼント」
「ありがとう。静夏…」
「これは俺からです。結婚祝いも兼ねて父さんと2人に」
絋希さんはお母さんと啓太さんに色違いの包みを渡した。
「ありがとう。絋希くん」