運命の人はお義兄様
授業終了のチャイムがなった。
担任が出ていったので、俺も教室から出ようとした…。
「おい、平沢。ちょっと…」
はぁ-。見つかったか。
「藤田先輩!どうしたんですか!?」
「手首の調子はどうだ?」
「まぁまぁです。何かあったんですか?」
俺は営業スマイル…笑顔で聞き返した。
「い、いや…。調子が悪いなら、うちは選手層が厚いから無理はするなよ」
なぜか動揺している藤田がひどく滑稽だった。
「はい。わざわざありがとうございます」
俺は自分の席に戻ろうとした。
「絋希さん。手首怪我でもなさってるの!?」
いきなり天草が話しかけてきた。
「全然大丈夫だよ」
「平沢、無理はするなよ。じゃ」
「お優しい方ですのね」
「あぁ。良い人だよ」
俺は自分の席に向かった。
隼人が隣に移動してきた。
「どやった!?」
「何がしたかったんだか…。本人に面と向かって言えない奴だ。藤田は」
俺たちは小声で話した。
「7時の約束に間に合うといいな」
「間に合わなさそうだけどね」
「俺も東先輩以外は頑張るから、絋希も頑張ろうな」
「あぁ。お互い頑張ろう」
授業開始のチャイムがなった。