運命の人はお義兄様
夢
静夏side
私の耳には懐かしいピアノの音が聴こえてきた。
ピアノの音に耳を澄ませた…。
「…ミ…ソ……ド…」
途切れ途切れに聴こえてくる音をつい口にしていた。
体が勝手に音の出ている場所へと動く。
ここ…
絋希さんの…。
私は絋希さんのもう1つの部屋の扉に耳を近付けた。
優しい音…
初めて会った時の彼とも
さっきのムカつく彼とも違う…。本当の絋希さんはどんな人なの?
私は懐かしく、心地好い音に包まれた。
私の頬に暖かい物が流れていた…。
あれ??…どうして!?
涙が止まんない…。
私は慌てて涙を拭いた。
拭いても、拭いても流れてくる涙に呆れながら
私は絋希さんにお風呂の事をメールで伝えた…。
急いで自分の部屋に戻った。