運命の人はお義兄様

静夏side



私の耳には懐かしいピアノの音が聴こえてきた。

ピアノの音に耳を澄ませた…。

「…ミ…ソ……ド…」

途切れ途切れに聴こえてくる音をつい口にしていた。

体が勝手に音の出ている場所へと動く。

ここ…
絋希さんの…。

私は絋希さんのもう1つの部屋の扉に耳を近付けた。

優しい音…
初めて会った時の彼とも
さっきのムカつく彼とも違う…。本当の絋希さんはどんな人なの?

私は懐かしく、心地好い音に包まれた。

私の頬に暖かい物が流れていた…。

あれ??…どうして!?
涙が止まんない…。

私は慌てて涙を拭いた。
拭いても、拭いても流れてくる涙に呆れながら
私は絋希さんにお風呂の事をメールで伝えた…。

急いで自分の部屋に戻った。





< 64 / 207 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop