運命の人はお義兄様
バイオリンの音を聞くたび、昔の事が甦っていく―――"大きくなったら、僕のお嫁さんになってね"
小さな俺と小さなあいつ…
「…し…ず、か…」
俺は小さく呟いた。
「思い出したのね?」
「はい…」
静夏はこちらに気付いて無いようだった。
懐かしく綺麗で愛しい旋律に涙が出てきた――
そんな俺に「静夏ちゃんも思い出そうと必死なってるのね」と美希さんが言った。
その言葉で俺は静夏を見つめた…。
涙で歪んでいる視界でもはっきりわかった。
その横顔にも涙が流れている事を――
俺の足が勝手に静夏の方へと動き出した…。