愛しき悪魔
「その家で生き抜いていくには…立派な魔女になるしか…なくて。」
また一粒。
「でも…まわり年上ばっかだからさ、大人になるしか…なくて。」
またまた一粒。
「私は…こうなっていくしか…なかったんだぁ!!!」
また…涙が一粒、と思ったが、もう数え切れないほど溢れ出してきた。
「…ぅ、うわぁーん。」
もう幼い声をだしてなく彼女はとても小さくみえて。
ぎゅうぅ…
私はそっと抱きしめた。
「…大丈夫だよ。」
「…ヒッ…ウッ…大人に…なるため…に、子供っぽいことは…全部…やめた。」
「…」
「…フッ…遊ぶこ…とも、甘え…ることも。」
「…うん。」
「ヒッ…魔女に…なるために…髪を…黒の髪を…獣の…血で…染めた。」
「…フッ…ウッ…」
彼女の涙は私に伝染して、
「…チッ…クッ…」
…亜羅にも伝染した。