愛しき悪魔
「お誕生日おめでとう、ちづる。」
聞こえないはずの声に驚いた。
見えないはずの姿にも驚いた。
目の前に同い年くらいの男の子が立っていた。
「………誰?」
月明かりがちょうど彼の顔を照らす。
綺麗な金色の髪ー…
大きな瞳ー…
赤い瞳にー…
もっと真っ赤な唇ー…
綺麗な…男の子?
女の子みたいだ。
「……俺は…ね?」
その時、彼は一歩前に踏み出したため明かりがずれた。
………ーえ?
「……俺、悪魔…なんだ。」
…黒くかくばった羽が見えた。