愛しき悪魔
「……悪魔?」
「そぉ。俺、悪魔。」
近づく一歩がやたら大きくみえて、
自然に壁にしがみついていた。
「……そんな怯えないで?」
悲しそうに顔を歪めた。
ギュウ…胸が苦しい。
「…ご…ごめんなさい。」
それでも壁から手をはなすので精一杯だった。
「…今日、俺は君からお父さんを買いにきた。」
「……お父…さん?」
コツ…コツ…
距離はいつのまにか縮まっていた。
「…うん。お父さんね、俺ら悪魔にとってすごくいいエ…じゃなくていい人なんだ。つまり欲しいんだ。」
目をあわせるように彼はしゃがんだ。
真っ赤な瞳がー…私を射る。
「いいかな?買っても。」