愛しき悪魔
「……売ったら、どうなるのー…?」
眉がピクと動いた。
それにつられて私の体もピクと動いた。
「……売ったら、君に自由をあげる。」
「……じ…ゆう?私、充分自由…だよ?」
「……俺には体中に散らばってる痣が鎖にみえるけど。」
「……」
スクッー…
彼は立ち上がって私の頭上にある窓に手をついた。
「……しかもそこは雨がふらない。だからこんな檻のような雨が降ることはないんだよ。」
彼は遠くをみて呟いた。
「…逃げ出そう、ここから。」
ガッシャーン!!ガン、ガン!
次の瞬間お父さんが暴れている音が聞こえた。
「………ほら。」
妙に大人っぽい手が差し出された。