愛しき悪魔
「…はは、わかってるよ。そんなとこが、俺は好きだし。」
「………好き?」
「あぁ、…俺はちづるが好き。だから…素直にならなくていいから……
信頼…してよ。」
もう一粒…零れて…涙はとまった。
「…ちづる、起きてるのか!?」
だん、だん!!
お父さんが近くにきてるっ!?
ビクッ…また…震えが…。
「…ハッ、やめてって…大きい声…だしたから…。」
バン、バン!!!
「まだ起きてるのか!!悪いやつだな!殴られたいのか!!!」
……どうしよう。
彼は真顔で動こうとはしない。
ただ、扉を眺めている。
……やっぱり、逃げるなんて無理だよ。
私はしゃがみ込んだ。