愛しき悪魔
外に出るのは初めてだ。
玄関に近づくことすら許されていなかった。
キィ…
外は…部屋の中よりも暗い闇が広がっていた。
そっと扉を閉めて…何も見えない暗闇の中を歩きだす。
どこまで行っても闇。
光がみえない。
しかし目の端に赤い光が見えた。
「…え?」
そこには赤い光が点々としている。
無数にある点々の光。
気付くのはさほど遅くなかった。
…あれは、悪魔の目だ!!
あの目は亜羅が食料を取りに行く時にする目だ。
変な興奮を漂わせる時になる真っ赤な目…。
あれは危ない目だ!
ちょっとずつ後ずさる体。
だんだんと奇声が聞こえてくる。
震える体。
だんだんと下品な笑い声も聞こえてくる。
戻らなきゃ!
元の道をもどろうとしたとき、
ガッ…ドタン!
運悪くこけてしまった。
音を感知したのか赤い目が一斉に私を見た。