愛しき悪魔
「……芽威奈。」
「傷毅っ…。」
ふとドアの方を見るといつものニヤニヤした様子で見ていた。
いや、目が笑っていない。
「大きい声だすから美流ちゃんビックリしちゃってたよ。」
「っ、…でも。」
芽威奈に声をかけているはずなのに視線を感じる。
「……芽威奈、美流ちゃんとこ行ってて。」
戸惑いが見えたが、傷毅のただならないオーラを感じ、芽威奈は部屋を出ていった。
「今日、顔だしたのはこれが理由か。」
「いや、素直に美流ちゃんに会いたかったからだよ。」
表情は変えずゆっくり近づいてくる。
「わかってたんだね。なのに何で放置?」
「……どうすれば、よかったんだよ。」
美流を1番近くで見てきたんだぞ。
つねに彼女を思ってたのに……
しきりに手の平をさする。