愛しき悪魔
しばらく壁に寄り掛かったままぼぉーっとしていた。
ただ一点をみつめぼーっと…
「あ…亜羅?」
気付くとそこには美流が立っていた。
普段きている白とは違い、黒を帯びた赤のドレスで。
地味なドレスだが美流は華やかに着こなしている。
巻いてあげられた髪が溢れているように零れている。
メイクは濃いめ。
まるでー…悪魔のよう。
美しい悪魔。
汚れを知らない悪魔。
悪くない、こんな感じの美流も。
むしろー…
「美流ちゃん、亜羅が言葉失っちゃってるよー?」
「…え、…っと、どうかな…。」
いつもの美流じゃないみたいだ。
あの強気な美流はどこ行った…?
でも……「…特にどうってことねぇ。」
素直じゃねぇー…。
傷つけちゃったし。
せっかく綺麗なのに眉を歪めて口はへの字かよ。