愛しき悪魔
しばらく歩いたが風景は赤っぽい地に薄暗い雲、枯れたような雷でもおちたような木がぽつぽつあるだけでとくに変化がない。
ただ、だんだんと薄暗さがましてきている。
「傷毅さん、もしかして日が暮れてきてます?」
「うん…、あんまり暗くなるとヤバイね。変なヤローがうろつきだす。」
その横顔は真剣だ。
「じゃあ急がないといけませんね…。」
「あ!そーだ!俺、上空から捜すわ。」
「え?」
バサバサッと羽をひろげ勢いをつけて飛び上がった。
「あっ、私も…」
「あ!美流ちゃんは飛んじゃダメでしょ、天使ってばれちゃうじゃん!」
「でも…!」
「じゃあむこうの方行ってくるね!」
「ちょっと…!」
バサバサバサ……
あっという間に飛んでいってしまった。