愛しき悪魔
「これー…」
「遠慮しなくていいから。亜羅につけとくから!な!」
ニヤァって笑って旦那は嫁をくわせていかないといけないから大変だ、なんて呟いた。
「亜羅ー…傷毅さんのところにいるんですね。」
「あ、うん。いきなり来っからさー、女も呼べねぇよ。」
「…亜羅が傷毅さんにこれ、届けるように言ったんですか?」
「…そんな泣きそうな顔しないの。」
なれた手つきで頭を撫でてくれる。
ますます泣きそうになった。
「じゃあそろそろ帰んね。」
私は椅子から立ち上がって玄関にむかう背中をおいかける。
「じゃあまたね!」
私は…帰ろうとする傷毅さんの服の袖をつかんだ。
「!…?」
「…」
「どした?」
優しいその声に私の涙腺が…とうとう壊れた。