空に描く青
江鳩くんだった。
ぐいっと腕を引き寄せられて、江鳩くんの胸に飛び込んだ。
黒いネクタイが見える。
「連絡ないから、もう来ないかと思った。」
「それは…。」
迷惑かな、と思ったし。
「ね、志緒ちゃん?」
相変わらず、整った顔立ち。
「彼女は?」
「あ?」
江鳩くんは、私を放して眉を寄せる。
「今度行こうなーって。」
私の方が眉を寄せたい。
「クラスの女子。」
あはは…と笑う江鳩くん。
「なんか…ヤキモチ妬いてるみたい…。」
私は言う。
「嬉しいよ。」
江鳩くんは言った。