空に描く青

「その時の兄貴の手はまだ暖かかった。それで、握り返してくれた。」

窓から差し込む西日に江鳩くんの手が当たる。

嗚咽がもれた。

「なんで、志緒ちゃんが泣くんだよ。」

首を横に振った。

違うよ。

泣いてるのは。

一番涙を流してるのは。

「江鳩くんでしょう?」




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