月光
「ニューヨークからの長旅、疲れただろ?今日は学校行って手続き済ませて、校内を案内したら下宿先に送るから。ゆっくり休みなさい。」





五島先生はやっぱり爽やかに笑って、今の私にはまぶしいくらいの笑顔を見せながら、静かに車を発進させた。





私は、ただうなずき、窓の外を見て何も喋ろうとしなかった。





車の中で、何度も私を気にしている風だったけど、私は一度も先生の方に向かなかった。





もう二度と仲間や恋人を作るつもりなんてないから。




ただ、早くあの出来事を忘れたい。





ただそれだけだから。




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