れもん。
祖母の家を出ると、右に曲がる。

「何処行くの?」

「崇(タカシ)んち!覚えてる?他の皆の事とか。」


覚えている。顔はよく思い出せないけど、昔皆で一緒に遊んだ。


「覚えてるよ。崇の家が溜まり場だったよね。」

今もそうなの?聞けば、そーだよ、と返ってきた。



何回か角を曲がって、家を出て10分くらいして真っ直ぐで緩やかな坂道に出た。そこを更に10分歩けば、崇の家が見える。

崇の家は地元の有力者で、坂の上には立派な日本家屋がある。その周りを石垣が囲っていて、木で出来た門は朽ちる事なく、私達を出迎えている。

門をくぐって右側には数匹の錦鯉が棲んでいる池がある。今は見る事は叶わなかったけど、たまに飛び跳ねている。

左側には何百年も生きている桜の大木が緑の葉を繁らせている。

地面には石畳を敷いてある。

宏之は玄関には目もくれず、池のある前庭に向かって走り出した。
私はその後をゆっくり付いて行く。
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