ビターに愛して シュガーな恋心
「パパ」

あたしは確信を持って、相手の名を呼んだ

だって間違えるはずがないから

記憶喪失になって、パパを忘れない限り…あたしはパパの声を忘れられない

『よく覚えていたな
もう忘れているかと思ったよ
やっと携帯の番号を入手できたんだ
ゆっくり話をしようか?』

「話など…したくない」

『そうか?
俺はある
お前の母さんのことで…お前が殺したって知ってるんだ』

「あ…あたしは殺してなんか」

『殺しただろう?
介護が面倒だったんだろ?』

「面倒なんて思ってない」

なんてことを言うの?

あたしはママの介護を面倒になるはずがないじゃない

『なら、なんで施設に預けた
学校など辞めて、介護すればいいのに』

「普通の生活はもう無理だって、医者が…」

『医者は関係ない
お前がやらなかったのが、気にいらないんだよ
大好きなママ…だったのに
あっさりと殺したんだ』

「だからっ!」

違う!

あたしは殺してなんか…ない

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