ビターに愛して シュガーな恋心
「あたし…たぶん…ううん
絶対に勇人さんに迷惑をかけちゃう」

あたしの声が震えた

流れ落ちそうになる涙を必死に止めようとする

勇人さんは絨毯の上に、お尻をついて座るとあたしの手の上に掌を重ねてきた

「迷惑なんて思わない」

勇人さんが瞼を持ち上げながら、優しく呟いてくれる

勇人さんの声が、あたしの胸に染み込んできて胸が熱くなってくる

「でも…本当に、嫌われちゃうから
迷惑ごとばかり持ち込んでくる女だって、思われるよ」

「くだらねえな
あーだ、こーだって考える前に、俺に話せよ
迷惑じゃねえって言ってやるから」

勇人さんはなんでそうなの?

どうしてそんなに広い心を持っているの?

莉子ちゃんの悩みを受け止めて、解決してあげようと寝る間も惜しんで調べ物をして

克波さんのときも…

「電話の相手は誰だったんだ?」

言ってもいいの?

でも…


言わないで、いきなりパパに脅されても…困るよね?

話したほうがいいの?

脅されても、突っぱねられる情報を得られておける?

パパはどうしてあんなことをしようとするの?

勇人さんはただあたしをメイドとして雇っているだけなのに

勇人さんは『金のなる木』なんかじゃないよ
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