ビターに愛して シュガーな恋心
一真を俺の家へと案内する

学校に登校する前に、ささっと桃香が掃除をしていってくれたのだろう

寝乱れたベッドは綺麗に整えられ、朝食の後片付けもきちんとしてあった

俺は居間に入ると、ソファに座る

一真もあいているソファに座った

隣合って座っているわけではないが、距離をあけて互いの顔が見合わせられる位置に座った

白髪交じりの傷んでいる髪を、かきあげた一真が俺の目を見て微笑んだ

「娘はメイドをしているって聞いたのですが」

「ええ、メイドをしてもらっています
一人暮らしで、家事などやったことのない俺ですから…
やる必要もないし
前に本家からメイドと使用人を呼んだのですか、辞めてしまったので
ちょうど生活に困っていた桃香をメイドして採用したまでです
何か、気になることでも?」

「いえ…別に
気になるだなんて…娘がどんな生活をしているのか知りたくて」

「どうぞ
お好きなだけ、部屋を見ていいですよ」

「そんな…お坊ちゃまのお部屋を荒らすような真似なんて」

「荒らされて困るような生活はしてませんから」

俺はにっこりとほほ笑んだ

一真の頬が引きつる

何か気にでも障ったのだろう
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