ビターに愛して シュガーな恋心
「んじゃ、僕が保健室に連れていくよ」

藤城君が私の肩に触れた

え?

私は頭で考えるよりも先に、藤城君の腕を振り払っていた

「あ…ごめっ
大丈夫です
一人で行けますから」

私は席を立つと、藤城君の一言で集まったクラスの人の輪をくぐりぬけた

『なあに、あれ…』
『ちょっとお嬢様だからって…』

クラスメートからの文句が聞こえてくる

「まあまあ、病みあがりだから緊張してるんだよ」

藤城君がクラスメートの言い訳をしている

…やめてよ!

そういうの…別にしてくれなくていい

どうせ私なんて、使い捨てなんだ

信二だってそうだった

『好き』だと思っていたのは、私だけで…信二にとっての私はただ小遣い稼ぎに使える女でしかなかった

藤城君だって

兄様を怒らせるための道具でしかないんだから

優しくしないで

私は一人で平気だもの
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