ビターに愛して シュガーな恋心
「ああぁ、でも
なんか傷ついた」

藤城君が、髪を掻き上げたまま、私の顔を見ていた

「え?」

「昨日のこと!」

「昨日?」

「僕だけ…そういう気持ちだったってわけでしょ?
莉子には気持ちが無かった
なのに…莉子の声だけで、興奮してた自分が馬鹿らしくなった」

「ええ?」

藤城君がふうっと息を吐いた

そんなこと言われても…あのときは、兄様の怒りを買うための行為だと思ったから

「ごめんなさい」

「…んで?」

「はい?」

藤城君の顔がぐいっと近づいてきた

にやりと微笑んで、何かを期待しているような表情をしている

「気持ちを確かめったわけだしぃ…いいよね?」

「え? 何が?」

私は身を引いた

壁にぴったりと背中がつく

冷たい壁が、熱くなりはじめている私の背を冷やしてくれる


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