ビターに愛して シュガーな恋心

桃香Side②

「あれ? 藤城君は?」

会長室から、あたしは顔を出すと首をかしげた

生徒会室には、莉子ちゃんと克波君しかいない

しかも二人とも、微妙に距離をあけて書類を広げていた

「あ? サボりじゃねえの」

克波君が興味なさそうに呟いた

まさか…無断で休みような人じゃない気がするんだけど

「何か用事があるって言ってました
用が済み次第、絶対に顔を出すから、桃香先輩には帰らないように伝えておいて…って」

莉子ちゃんがにっこりとほほ笑んだ

あれ?

なんか、莉子ちゃんの笑顔…前と変わった?

棘が抜けたみたいな感じがする…て考えすぎかな

「なあ、莉子ちゃん…やっぱ彼氏いるだろ?」

克波君が、横目でちらちらと莉子ちゃんを見ていた

「どうしてですか?」

莉子ちゃんが書類から目を離すと、克波君の顔を見た

「だって…なあ…、キ…、マ…クが増えてるだろ?」

克波君が恥ずかしそうに口をもごもごさせていた

『キスマーク』?

「蚊に刺されただけですよ」

莉子ちゃんが首筋を押さえた

あ…本当だ

昨日より…ううん、今日の朝より増えてる

どうして?

もしかして、学校で誰かと?

まさか…藤城君?
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