ビターに愛して シュガーな恋心
勇人さんの視線が動く

窓の外から、室内に戻ってくると、ドアの前に立っているあたしの顔を見て微笑んだ

「俺は『正義』って言葉が嫌いだ
この世の中に、『正義』を貫いている人間なんていないからな

どす黒い感情を理性と知識で隠し、生きている
桃香に、俺のどす黒い感情を見られたくなかった

嫌われるとわかっていたから、な」

あたしは首を横に振る

勇人さんを嫌うなんて…むしろあたしのほうが、勇人さんに嫌われる

あたしだって、どす黒い感情を隠し持ってる

パパに対して、憎しみしかないもの

額の傷を見るたびに、怒りがこみ上げ…そして悲しみの淵に立たされる




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